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青春メモリー

第5章 過去と未来、そして現在

「・・・チッ!もうやめだやめ。行こう




ぜ。」





不意に1人の男が言った。





「お、おう。」




あとの2人もそれについて行く。




「一ノ瀬君!!」




あたしは痛みなど忘れて駆け寄った。




痛みなんて気にしてられない。




一ノ瀬君の方が重傷だった。




「・・・加藤さん・・・・・・。」




「一ノ瀬君・・・・・・何で?どうしてあん




な危ないことしたの?死んじゃったら




どうすんのよっ!!あたしなんかのた




めにこんなことしないでっ!!」




あたしは一ノ瀬君に怒鳴った。




「加藤さん。僕は女の子にお願いされ




たんです。」




「!」



あの子助けを呼びに・・・行ってくれた




の?




「だから、最初に助けたのは加藤さん




です。見ず知らずの人を助けるなん




て、なかなか出来ません。」




「・・・でも・・・・・・こんなに、ボロボロに




なって・・・・・・。どうして自分がこうな




るって分かってんのに・・・あたしを助け




たの?」




「・・・?・・・だって、僕にとって友達は




とても大切なものですから。」




友達・・・・・・?




「一ノ瀬君・・・あたしと・・・・・・と、友達




に・・・なってくれるの?」




あたしはおそるおそる尋ねる。




「・・・何を言っているんですか?」




あ・・・やっぱり友達は無理か・・・・・・。





「あはは、いや何でも・・・・・・」




一ノ瀬君はあたしの言葉を遮った。




「僕たちはもう、友達です。」




一ノ瀬君は微笑んだ。




その一言で、あたしの世界が変わっ




た。




すごく、すごく、嬉しかった。




あたしの目から涙が溢れ出した。




お父さん、お母さん、あたし・・・・・・





──本当の友達が、できたよ──

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