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麗しの蓮の姫~炎のように愛して~【BL】

第5章 天上の苑(その)

 その時、ミンソンの部屋では次のようなやりとりが交わされた。
―私の方が先に逝くはずだったのに、よもや、準基がこんなに早く逝ってしまうとは思ってもみなかったよ。
―殺しても死なないような、健康だけが取り柄のような奴でしたから。
―弟もよく私にそう言っていたな。自分は勉強は好きではないけど、健康で病知らずなだけが取り柄だとよくふざけていたよ。あの子は私と違って、昔から風邪一つ引いたことがないのに。
 ジスンの軽口に笑顔を浮かべながらも、ミンソンははらはらと落涙していた。
 ジスンもまた、優しすぎるほど優しかった本好きの友達のことを思い出して泣いた―。
 そういえばと、浄蓮は今更、思い出していた。
 ひと月前、天上苑から都まで帰る途中、白馬に乗った時、触れ合った準基の身体が熱かった。あれは、きっと既にあの時、高熱を発していたのだ。

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