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麗しの蓮の姫~炎のように愛して~【BL】

第2章 麗しの蓮の姫

 ここは翠月楼の二階、奥まった先刻の座敷では、いまだに乱痴気騒ぎが続いているらしく、妓生たちの嬌声や男たちの歓声が上がっている。
「私と一緒にいるところをあの若さまに見られたら、また何か厭味を言われ、旦那さまが不愉快な想いをなさいます。さあ、お早く」
 急かすように言うと、準基は意外に素直に従った。
「そなたもよくよく気をつけろ。そなたの申したように、あの男は陰湿で執念深い」
「判っております」
 微笑むと、準基はそれでもまだ何か言いたげに口を開きかけ、思いとどまったらしい。最後に少しだけ笑顔を見せると、踵を返した。

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