どうして?僕が攻めじゃ不満なの?
第3章 3P…になりませんでした、スミマセン
「ハァッ…ハァ…」
僕は、一日で何回イったのだろう。
頂点を極めた後は、どうしても気怠いうえに全身に力が入らない。
「くッ…穂浪。」
力の抜けた間抜けな僕の身体を、アイラくんは優しく抱き締めた。
抵抗する力さえ、既に残っていないから黙って抱き締められている。
「好きだよ、穂浪。」
アイラくんのその言葉は、意識の無い僕には届かなかった。
…………
「ん…」
次に目を覚ましたときには、アイラくんはもういなくて、歩くんだけだった。
歩くんも疲れたみたいで、僕のベッドに寄りかかるように寝息をたてている。
歩くんの寝顔は、安らかで本当に天使みたいで…でも、儚くて…。
外見からは分からないあの性格は、どんな風に出来たのだろう。
歩くんの髪の毛を軽く指で梳くと、ゆっくり目を開ける歩くん。
歩くんの瞳は、こんなに綺麗なのに…どうして冷たく見えてしまうのだろうか?…そう思った。
「穂浪くん、僕は君を愛してるから。」
髪を梳いていた腕を掴まれて、手のひらを包み込むように握られる。
「どんな奴より、両親より、穂浪くんの事…愛してるから。」
「両親…より…?…大袈裟だよ。」
少し軽く笑いながら言うと、歩くんはなにが可笑しいと言うような目で睨んできたから黙る。
「大袈裟なことないよ?君を気に入った瞬間、電話番号も携帯番号もメールアドレスも君の友達や君をパシりに使う奴等やら…家や家族構成や何時に寝るかまで…ぜーんぶ、調べたんだ。」
少し前のめりになって、褒めて欲しい子供みたいなキラキラした顔で僕をみる。
「…気持ち悪い…」
口をついて出た。本当に無意識で、直感的に怖い、危ないって思った。
「ぁ!!の…違うから。あの…」
「そうだね、僕は気持ち悪いね。まさに病的に君を愛してるんだ。…君が僕を止められたら、それはもう奇跡以外の何物でもないね。」
歩くんはまた、儚く笑った。