どうして?僕が攻めじゃ不満なの?
第5章 アイラくんの暴走
「おはよう、穂浪。」
今日の朝は、いつもとちょっと違う。
それは、僕の彼氏の歩くんが迎えに来てくれること。
「おはようっ…大変だったよねっ」
僕の家と、歩くんの家は別に近いわけでもない。
だけど、歩くん…迎えに来てくれて…
「ほんと、ありがとう。」
僕が歩くんに恐縮恐縮してるから、歩くんは僕の手を勝手に取って先に歩いていった。
僕も追い付いていくために、歩き出す。
というか…、今、手繋いでるよね?
…どうしようっ
…どうしようっ!!
手に汗がどんどん滲んでくる。
「あ…の、歩くん…僕っ手汗が酷いからっ離してもらえるっ…かな?」
なるべく優しく、刺激しないように断る。
だけど、歩くんは逆に、手を強く握ってポケットの中に入れてしまった。
「ぇーと…」
「手汗とか、気にしてないし。僕は、穂浪と手をつなぎたい。穂浪は違うの?」
「そんなことないよっうん!!っ僕だって…手…繋たいけど…恥ずかしいっ」
そうやって会話してる間にも、緊張は増して、僕の手からは有り得ないぐらいの量の手汗がでる。
ビチョビチョだ…
気持ち悪くないのかな…
「恥ずかしいとか、最初だけだからさ、だってもう僕達付き合ってるんでしょ?」
歩くんが、手汗を気にしている僕の顔を覗き込む。
そんな綺麗な顔がいきなり近づいたものだから、ビックリした。
「うん…、付き合ってりっ」
「ククッてりっって何だよ。」
噛んだよー…
恥ずかしい…だけど、歩くんがあんなに楽しそうに笑ってる。
僕の間抜けな所で、あんなに楽しそうに笑ってる。
「だからさ、穂浪と僕は、もっと恋人みたいなことして良いんだよ?」
「恋人…みたいな…」
ボワッと蒸気があがるのは、きっと僕の体温が異常にあがったからだ。
「穂浪、こっち向いて。」
「ん?」
チュ…
………キスだ。
「恋人だから、キスして良いんだよ。」
平然と変わらぬ顔で居られる歩くんが信じられない。
僕なんて、タジタジで毎回思考回路が止まるし…。
ただ…触れるだけのキスだったけども…、唇と唇が触ったのは変わりない…キス…したんだ。
また…顔が熱くなってきた。