どうして?僕が攻めじゃ不満なの?
第5章 アイラくんの暴走
「あー…でも…アイツどうするかな…」
急に立ち止まって一人ぶつぶつ呟きだす歩くん。
「どしたの?」
僕も、その場に立ち止まり同じ様に歩くんの顔を覗き込む。
「んー、アイラに何て言おうかなって思って。」
「アイラくん?…が、どうかしたの…?」
必死に眉をよせて考えている。
何を悩んでるんだろう。
「まぁ、いっか。」
暫くして、そう言って立ち直る歩くん。
「何のこと?」
一応聞いてみたけど、まあ、そこまで気にしなくて良い話って返されたから、そうなんだ~で終わった。
「穂浪さ、僕達の所においでよ。」
「僕達の所?って…何処?」
「ほら、クラスで何時も僕の周りに居たがる連中のこと」
「あ~、歩くん人気者だもんね。」
確かに、歩くんの周りには必ず人が居る。
少なからず、金魚の糞のようについて回ってるのは御坂隼人(ミサカハヤト)と本城輝(ホンジョウヒカル)の二人。
凄いよ、この二人は。
歩くんのファンクラブ勝手に作っちゃったって聞いたことある。
あと、いつでもベッタリで…。
「どぉ?来る?穂浪さ、教室っていうか学校居るときいつも一人じゃん。」
「ぅん…だけど、遠慮しとくよ。多分、僕は気に入って貰えないだろうから…、いきなり歩くんと仲良くなって…怪しまれたら大変だし」
「え?怪しまれたらって、隠して付き合うつもりなの?僕、普通に穂浪のこと言いふらすよ。良い彼女ゲットって。」
言いふらすって…
隠さないの?
何で?
男と男だよ?
「でも…さ、僕達…普通…じゃないじゃん」
「普通じゃないって何が?」
「ぇ…と…それは」
説明しがたい。
お互い好きなのに…、わざわざ考え込むようなことしなくて良いかな…
「だって…男同士」
「男同士だから?普通じゃん。普通に恋愛してるだけじゃん。そんなんで普通じゃないって、僕の身長で受けか攻めかを決めつけるのと一緒だよ?男同士だって恋に落ちるよ。女同士でも。」
歩くんは、僕が納得するようなことしか説明しない。
すごい、理解できた。
そうだねって頷けるよ。