どうして?僕が攻めじゃ不満なの?
第5章 アイラくんの暴走
「そだ、言ってなかったな。」
歩くんは、腕が折れてるとは思えない満面の笑みをアイラくんに見せる。
「お前、俺が穂浪のことが好きだって知ってたはずだよな?」
アイラくんは眉毛を苛ついているように寄せながら、はあっと溜め息を吐いて話す。
「それに、穂浪」
「っ!?ん!?」
いきなりアイラくんに話を振られて、驚いた。
「俺、お前に好きって言ったよな。告白したよなぁ。なんで返事もしないでこんな奴と付き合おうとしてるんだよ。」
アイラくんは、また苛ついているように眉を寄せる。
…だけど…僕、
「告白…された覚え…ない…よ?」
僕がそう言うと、歩くんはクククと笑い、アイラくんは眉毛をもっと寄せた。
「ああ!!もういい!!んじゃあ、これだけ聞く。穂浪は、歩のこと好きなのか?」
肩を掴まれ、揺さぶられながら聞かれる。
「っ…好き…だょ…」
赤くなりながら、答える。
「歩、お前は?」
今度は、歩くんに振る
「うん、勿論僕も、穂浪のこと愛してるよ。」
って普通に笑いながら…
うわ…絶対…今…、顔から湯気出てる…
「分かった。じゃあ、俺、諦めないけど…今は、身…引いてやる。」
アイラくんは、自分で納得しながら話し、僕に軽くキスして、歩くんに
「怒るなよ?」
って。
歩くんは、
「ああ、今日は助けてもらった礼だ。」
って。
いきなりキスされた僕は、また放心状態のまま。
今日は、怖いことも経験したけど、きっとアイラくんの暴走が無かったら助かってなかったな…
家に帰って、寝る前にそう思った。
「愛してるよ。」
歩くんの言った言葉が、まだ耳にこびり付いてはがれなくて…また赤面する…。
そんな感じで、1日が終わった。