どうして?僕が攻めじゃ不満なの?
第1章 カワイイ娘
歩くんのキスが神業過ぎて、足に力が入らなくなってそのままズルズルと床に跪く。
「ッ…歩く…こんなの…間違ってるよッ…」
僕が荒い息のままそう言うと、歩くんは顔に冷たい笑みを貼り付けて僕の目線に合わせて、
「なにが間違い?あぁ、もしかして泣いちゃった?」
僕の知らない間に零れていた涙を、歩くんは舌で拭った。
その舌は、当たり前のように僕の口元にまで近付いてくる。
「…ッ歩くん、いッやッ!」
怖くて…気付けば、歩くんを突き飛ばしてた。
大きくよろめいた歩くんは、派手に後ろに倒れた。
ハッと正気に戻った僕は、歩くんに駆け寄った。
「っごめん!!歩くん大丈夫?」
差し伸べた手を、冷たく払われた。
パシッと、乾いた音が教室に響いた。
「歩く…?グッ!?」
ゆらあっと立ち上がった歩くんは、僕に馬乗りになって首を絞めてきた。
「穂浪くん、こんなことするヒトなんだ。」
酷く無表情な顔を、僕に向けながらポツリポツリと呟く。
その間も、緩むことのない力についつい怖くなり、また新たな涙が伝った。
そして、力の限り暴れて抵抗した…のに、歩くんの力は身体の小ささからは分からないくらいの力があった。
「今の内に、沢山抵抗しときなよ…そのうち、嫌でも言うこと聞かなきゃいけなくなるんだもん…ね?…穂浪クン?」
最後に、ニヤアと悪魔の笑みを見せた歩くんは、僕の首から手を離して、制服を引き裂いた。
ブチブチと卑劣な音をたてて、制服のボタンが飛び散った。
「…やだ…やだよ…歩くん…」
僕の呼び掛けなんて上の空で、何かに酔いしれるように僕の上半身を煌々とした目でみる歩くん。