テキストサイズ

小さな秘密

第5章 ふたつのグラス

土曜日だし、
お兄ちゃんが家にいる事は始めから知っていた。

お兄ちゃんに意地悪されるから……


なんて言えるわけなくて、

“お兄ちゃんがいるから”

それだけの理由で壱輝が納得するわけもない……


壱輝にエッチな事されないようにって、
それだけを願っていた。


「栞宿題やった?」

「うん、やったよ」


「写させて?」


「いいよ」


他愛ない会話が続く。


「ねぇ、栞の兄ちゃんずっといるの?」


「うん、いると思う」


「そっかぁ」


壱輝と付き合って
一週間以上経つ。

最初はスキとか、そんな感情は無かったのに……



「栞?」

「なぁに?」

「ちゅう、しよ?」


「恥ずかしいよ」


恥ずかしがる私のほっぺたに優しくキスをする壱輝。


私のファーストキスの相手…。

教室でこっそり
キスしたあの日から
壱輝の事、

スキになってしまった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ