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恋した相手は痴漢です

第1章 契約

ショーウィンドウ越しに見たあの痴漢の優男は遥と言った

もっと早く知りたかった。
名前ではなく、彼女が居ることを

相手が居るのに何故あんな事を?
こんな気持ちにさせられるなら、痴漢なんて、優しい笑顔なんて・・・

でも、本当は気づいていた。

遥に否応なく惹かれてる自分のことに

好きの気持ちは勝手に生まれて自分の理性を踏んづけて一人歩きすることを。

ぐすっと泣いた顔で、鼻水を啜って駆け出した後繁華街の路地にあるコンクリートで出来た段差に膝を抱えて座った

これからのことを思うと打ちひしがれた

屋敷には帰れず、その上自分を無理やり抱いた男と一緒にいなくてはならいなんて・・

両親を失ってまださらに追い討ちをかける絶望的な事態に生きていくことがつらくなった

膝に顔をうずめ、ワンピースを濡らしながら思い出して涙がでるのはさっきの光景だった

ふわふわの長い髪に愛らしい笑顔
遥もにっこりと微笑みあうあの光景・・

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