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恋した相手は痴漢です

第1章 契約

ふいによこから、ザッとアスファルトを踏む足音が聞こえ、びくっとして顔をあげた

全身で息を吐く遥の姿があった

肩を上下させ、あの笑顔を崩した男がたっている

「はぁ・・はぁ・・あ~!やっと見つけた」
屈む姿勢で優愛の泣き顔を覗き込んで、熱く息をはきながら微笑んだ

かぁ~っと赤面した優愛

「も~、走って行っちゃって驚いたし!探したし!ビックリしたじゃん」
ハハっと白い歯を見せ、笑う遥にまた胸が締め付けられる

「なっ//・・どっヒッ・・ズッ」
「など?へ?何?」
鼻を啜り涙を手の甲で拭う

「何で?どうして?彼女は?」
ちょっと落ち着いた優愛は聞く

「彼女?あぁ~、あレじゃなかった!あの子は彼女なんかじゃないよ?」
ニコニコの笑顔で答える

優愛の中で何かが弾ける

「本当に??」
「ぇっ・・うん。どうして?」
「はぁ~・・そっか・・なんだ・・そっか・・アハハうんなんだ・・」
胸を抑え何度も呟いて繰り返す

「え~なに?何?あの子が彼女じゃなかったらいいの?」
優しい笑顔でさらっと核心をついてこられ、またも息を飲み込む

たしかに言うとおりで・・だが認めるということは、遥を好きだと言うのと同じ事になる

「・・あっうん。そう・・かな・・ハハ。うん、そう言うこと・・ってあ!私ったら先輩なのに、敬語わすれてしまっ・・」
「いいよ。優愛ちゃんには敬語使われたくない」
優しい笑顔の中、目が真剣で・・

「うん・・」
優愛は、引き込まれていく

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