続・捨て犬
第6章 ごめんな……エミ
俺の涙を見て
エミは動揺したのか
どもりながらも
必死で
話をはじめた
「パパに・・・
パパに似てる人
何回も見たことあるの
見つかったら
嫌だって
ずっと思ってたから
似てる人をみたら
逃げてたの
けど
見つかっちゃったら
それは・・
仕方ないなって
前は思ってた
でも
もう嫌なの
絶対に見つかりたくない
絶対に
戻りたくないの
カズマから
離れたくないのっ・・
カズマと一緒にいたいの
ずっと
ずっと一緒がいいの
だから
だからあの時
震えが止まらなくなって・・
外に出るのも
怖くなったの
カズマに
嫌われたら
ここを出ていかなくちゃ
いけないから
怖くなったの
カズマに
嫌われるのが
怖いの・・・
でも
カズマのこと
すごく好きなのに
パン屋さんに
行きたくなったの
ここに
ずっといればいいって
言われたのに
外に・・
外に出たくなったの
カズマが好きなのに
由香ちゃんに
会いたくなったの
萩原の
おばさんにも
会いたくなったの
ごめんね
カズマ
嫌いにならないで・・
ごめんなさい
外に出たいなんて言って
ごめんなさい
お願いカズマ
嫌いにならないで
お願い・・・
カズマが
カズマが好きなの・・・
ごめんなさい
ごめんなさい・・」