テキストサイズ

続・捨て犬

第7章 怒ったり…しねぇよ?



暗い部屋に電気をつけ
テーブルの真ん中に
パンを置いた


結局エミは
バイトから一度も家に
帰ってきてないから
夕食の支度も風呂の準備も
できていない


でも

いーんだ。

そんなこと。



2人で仲良く手を洗い
何も喋らないけど
俺達は
いつものように
いつもの場所に座った


俺の足の間に座るエミは
少しだけ
俺を振り返り

俺を見つめた


「がんばったんだよ?
早く食べて?」


そんな瞳をしていた



期待と

満足と

ちょっと
恥ずかしそうな

そんな顔


「食べていいか?」

って聞くと

口角を
きゅっと上げて
小さくうなずいた


まだホッカホカの
パンを手に取り
腹ぺこの俺は
大きくかぶりついた


うまい!


文句ねぇ、うまい!


当り前だな?
おばさんが
ついてたんだから


エミはもう
身体半分振り返って
俺の感想を待っている


かわいいなぁ・・


たまんねぇよ


「エミ?」


「?」




「めっちゃうめぇ~~~~!!」


って、ぎゅう~~って
エミを抱きしめた


エミは
完全に振り返って
俺に抱きつき

ちっちゃな声で
言ったんだ


「よかったぁ・・・」って。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ