続・捨て犬
第10章 がんばりたい
「エミ
言葉にしなきゃ
伝わらないことって
あるんだよな
俺がちゃんと話さないから
エミを不安にさせて
ごめんな?
もう不安にさせたくない
だから全部話すよ
赤ちゃんのことも
結婚のことも全部
俺の話
聞いてくれるか?」
エミは
俺の首から腕をほどき
黙ったまま
真剣な目で俺を見つめた
「その前に
なんで急に
赤ちゃんができたら・・
なんて言ったのか
教えてくれるか?」
「うん・・・
由香ちゃんが・・」
ゆ、由香?!
あいつ~~~!!
「うん、由香ちゃんが?」
「結婚しないの?って」
「うん」
「したくないの?って」
「うん、それで?」
「したいよって・・」
「そしたら?」
「赤ちゃんできちゃったら
結婚できるのにねって」
はぁ・・・
「分かった。
教えてくれてありがとな?」
優しい声で
エミの頭をなでてやりながら
俺は
心の中で
由香のほっぺたを
ぎゅ~~~って
つねりあげていた
「じゃあ、次は
俺が話す番な。
ふ~~~っ
なんか・・・
緊張してきたなぁ」
って俺が苦笑いすると
「いつもみたいにして?
後ろからぎゅって・・」
ってエミが言った
言われた通りに
背中から
エミを抱きしめ
いつものように
俺は
髪に顔をうずめて
目を閉じた
すると勝手に
身体がが大きな呼吸をして
エミのシャンプーのにおいを
体中に吸い込んだ
その時
エミの声が
そばから聞こえたんだ
「カズマ・・落ち着いた?」
エミ・・・・
なんでも
分かってんだよな
何も言わないけど
お前は
何でも分かってる
ココが
俺の
落ち着く場所なんだって