続・捨て犬
第11章 ゆっくりしても・・いいの?
風呂場まで行くのにも
手をつなぎ
シャワーを浴びていても
エミは
俺に抱きついて離れない
エミを
湯船で背中から抱きしめ
エミの滑らかな肌に
手をすべらせながら
俺は優しく
エミに話をした
「エミ?」
「ん?」
「萩原のおばさんから
電話があったよ」
エミは
何も言わないまま
少し
振り返って俺を見た
「偉かったな。
頑張ってたって言ってたぞ」
「・・・・・」
その言葉に
エミは表情を暗くした
「どした?」
「・・・・・」
あっ・・泣きそうな顔
「大丈夫だよ、エミ」
「・・でも・・・」
「うまく
できなかったのか?」
「・・ん・・・」
「最初から
うまくなんて出来ないよ
そんなの誰だってそうさ
パン焼くのだって
最初はうまく
できなかったろ?」
「・・うん・・でも・・」
「エミ?」
「・・・・」
「ゆっくりでいいんだ
時間はたっぷりあるだろ?
エミが二十歳になったら
結婚する
でも
赤ちゃんは
すぐじゃなくてもいいんだ
俺は
いつまででも
待ってるから
あんまり
頑張りすぎんなよ
な?」
「待ってくれるの?」
「あぁ、いつまでも
ずっとずっと待ってるよ
だから
ちょっとずつ頑張ればいい」
「カズマ・・」
「でも偉かったな
俺・・・うれしかったよ」
振り向くエミに
キスをして
何度も何度も
頭を撫でてやった
エミにこんなんじゃ
子供が産まれたら
俺は
甘い親になっちまうな
なんて思いながら