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続・捨て犬

第11章 ゆっくりしても・・いいの?


俺は
駅から駆け足で帰り
階段を上がる時には
もう
かなり息が上がっていた


でも

とにかく
早く帰ってやりたくて
階段を一段とばしで
上がる


上まで登りつめた所で

ガチャッ

俺の部屋のドアが開いた



「はぁ、はぁ、はぁ…

エミ……た、ただいま」


俺は
エミを無造作に抱きしめて
ドアを閉めた

靴も脱がないまま
荒い息も
収まらなまま

キスがしたいのに

息が荒くて
全然できない


ごめんな、エミ

何か言ってやりたいけど
うまく話せないし
何を言ってやれば
お前が癒えるのか

わかんねぇ

そのかわりに
俺はエミを抱きしめ
何度も何度も
頭を撫で続けた


「おかえり」も言わず
エミも
俺に抱きついたまま



いいんだ


少しずつで
かまわないんだよ


こんなことしかできないけど


なんてことないと
思える日が
いつか来るまで
毎日でも
こうしてやるから




もし

克服できなかったとしても


かまわないんだから






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