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続・捨て犬

第11章 ゆっくりしても・・いいの?

元気になった
エミを見て
安心したのか
由香ちゃんは
食事が終わると
すぐに帰ると言い出した


明日は休みだから
ゆっくりしていくのかと
思ってたのに。


エミに留守番をさせて
俺は
由香ちゃんを
大通りまで
送っていくことにした



話したいことも
あったから



「由香ちゃん」



「なぁに?」



「ありがとな」



「なにが?」



「あんなのウソだろ?」



「(笑)まぁね」



「おばさんか?」



「うん・・・それもある」



「ん?」



「今日さ、店に行ったの
たまたま・・
エミちゃんが
レジんとこに出てる時間に」




「・・・」




「なんか・・・
それ見てたら
なんかしてあげたいって
思ってさ・・・」




「ありがとな」




「こんなことくらいしか
できないけどね」




「俺には
できないことだから
うれしいよ」




「そんなことないよ」





「由香ちゃん」





「ん?」





「こんなこと言うと
負担になるかもしんないけどさ

エミには・・

その・・

由香ちゃんみたいな
友達みたいなの
いねぇんだよ


由香ちゃんしか・・」







「わかってるよ

大丈夫


あたし



わかってるから」








「ありがとな」








「そんな言わないで?

あたしは
頼まれたから
エミちゃんと仲良く
してるんじゃないんだから

あたしだって
エミちゃんが
好きなんだから


じゃ、もうここでいいよ

早く帰ってあげて?


エミちゃん
待ってるよ」






「そう・・・だな」





「じゃあねっ」




「由香ちゃん・・」




「ん?」




「いや・・なんでもねぇ」



言えねぇよ…何ひとつ



「そう?

じゃあ、また!」



屈託のない笑顔で
由香ちゃんは
帰って行った


おばさんにも
由香ちゃんにも
沢山世話になって

優しくしてもらって

俺、ものすごく
感謝してるんだ



でも
世話になるたびに


俺は


俺たちの
本当のことを
秘密にしていることが


重くて重くて


仕方なかった

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