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続・捨て犬

第13章 なぁ、どっちだよ



パン屋に着くと
俺はすぐに
サンタに着替えて
店先に立ち


エミは
早朝から
働いていた人たちと
一緒になってケーキを作った


徐々に出来上がった
ケーキの箱は運びだされ
店先はあっという間に
ケーキの箱で
山のようになってきた


こんなに
売るのかよ~~

って感じだ




「カズマくん
頑張ってね~(笑)」



萩原のおばさんだ


時折店先に
様子を見に来てくれる


「おばさん
俺がバイトすんの
分かってたんすから
サンタの服
ちっちゃいの
用意しといて下さいよ~~

今年も
ぶっかぶかじゃ
ないですかぁ~」



「なに言ってんの
来年はあの子
別れてるかも
しれないじゃないの(笑)

今日のためだけに
買ったりするの
もったいないでしょ?」



「あ~~確かに
俺、別れる方に
かけますよ(笑)」




「あははは(笑)
あたしも別れる方に
かけるわよ!

これじゃ
勝負にならないわね?(笑)


それにね

ぶかぶかの方が
いいじゃないの」




「え?なんでですか」



「これ見て
笑ったでしょ

エミちゃん。

エミちゃんも
これを見るの
楽しみにしてたんじゃないの?」




「ま、まぁ・・

お、俺は
なんでも
似合うんで
いいっすけど」



おばさんは
それから
なんにも言わないで
熱いコーヒーを
俺に手渡し
店の中に戻っていった



エミが
一年前の今日
俺を見て笑った


ぶかぶかの衣装に
でっかい髭



そうか


単純にサンタが
珍しいだけじゃなくて

エミは
見たかったのかな・・・



もう一度


あの時の俺を。

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