
続・捨て犬
第16章 いくつ?
「カズマ・・大丈夫?」
「あ、へーきへーき
心配すんな
ちょっと
びっくりしただけ
さ、戻んねーと」
「うん」
なんだかバツが悪くて
俺はエミを連れて
トイレに駆け込んで
顔を洗った
けど
早く戻んねーと
萩原は
照れくさいからと
披露宴のようなものは
しないで
式が終わると
解散することになってんだ
みんな
二人に挨拶をして
そのままパラパラと
帰って行く
商店街のオヤジたちは
勝手に開催する
二次会の話をしながら
ワイワイと賑やかで
親族は
この後食事にでも
行くようだった
そして
招待客がまばらになり
俺もエミと
二人に声をかけて
帰ろうとした時
少し
大きなお腹をした
優しそうに微笑む女の人と
その人に寄り添う
若い男が
俺たちの前を通り過ぎた
ん?
関西弁?
「ゆっくりでえぇからな?
大丈夫か?
さっきもちょっと
つまづいてたしなぁ・・
ほんま
ほっとかれへん
コケたりしたら
大変やから・・
なぁ、うさちゃん
聞いてるか?」
どうやら
妊娠している奥さんを
やたらと心配する
ご主人のようだ
その関西弁の夫婦が
二人に近づくと
久保木さんは
ドレスのまま駆け寄り
その
お腹の大きな女性に
抱きついた
あぁ・・
あの人なのかな
久保木さんが
言ってた
大切な年上の友人って。
「赤ちゃん?」
エミは
なんだか嬉しそうに笑って
俺を見上げた
「そーだな、多分」
久保木さんも
そのうち赤ちゃんができて
萩原のおばさんは
萩原のばぁちゃんに
なるんだろーな・・
てか
萩原が
パパとか
信じらんねーけど。
