続・捨て犬
第16章 いくつ?
Side 萩原
「かぁちゃん」
「なぁに?」
「何聞くつもりだったんだよ
カズマに」
「あんた知ってんの?」
「何が」
「エミちゃん
ほんとは、いくつ?」
かぁちゃんが
不審に思っても
仕方ねぇ
どうみても
21なんかに
見えねーし
成人式も
行かねーから
由香の着物を
貸してやるから
写真だけでもって
かぁちゃん言ってたけど
カズマの
遠慮する様子は
ちょっと変だったし
「知んねー」
「ほんと?」
「知んねーよ
そんなの
知ってんのは
エミちゃんだけじゃねーの?」
「・・・・」
「聞くなよ、カズマに。
あいつが
助けて欲しくなったら
ぜってーかぁちゃんに
相談すっから
その時まで
聞かないで
やってくれよ」
「・・・・」
あいつも
必死なんだ
エミちゃんだけじゃねぇ
かぁちゃんや
俺たちまでも守ろうと
してんだ
だから
「頼むよ
そんで
その時がきたら
助けてやってくれ」
きっと
俺なんかじゃ
助けられねー
何かをかかえてるはずなんだ
だから
「かぁちゃん」
知ってるよ
かぁちゃんが
あいつの両親亡くなってから
ずっとずっと
カズマのこと
気にかけてくれてんのも
エミちゃんのことを
まるで
娘みたいに
可愛がってくれてることも
だから
だから
カズマは
言いたくても
言えねぇんだよ
「そんな先の話じゃねぇ
多分。
だからそれまで…」
そこまで
言うと
硬い顔してた
かぁちゃんが
小さなため息と一緒に
表情を緩めた
「・・・仕方ないわね」