続・捨て犬
第17章 最終章①・・・教会
人生の中で
二十歳の誕生日は
誰にとっても
きっと特別。
それなのに
エミの二十歳の誕生日は
真っ暗な教会の前で
ひっそりと
二人きり。
あと数時間すれば
その誕生日も
過ぎ去ろうとしている。
誰にも
二十歳になったと
言えない
そんな
誕生日。
「エミ
プレゼントがあるんだ」
少し口角を上げて
嬉しそうに笑うお前が
大好きだよ
「手、出して」
エミが
子供みたいに
はにかみながら
右手を俺に差し出すと
俺は
ポケットから出した
小さなプレゼントを
その手のひらに置いた
「開けて、エミ」
何ひとつ
喋らないけど
全部分かるよ
エミは
もう分かってるんだよな?
そのプレゼントが何なのか
その小さな箱の中に
何が入ってるのか
だから
そんな幸せそうな顔
してるんだろ?
「綺麗…」
エミは
箱の中の指輪を見ると
そう呟いて
俺を見つめた
「エミ」
「………」
「俺と
結婚して下さい」
「……はい」