テキストサイズ

続・捨て犬

第3章 近っ。

「エミ…あの…」

「……」

あ、あれ?
シカト?

エミは
俺の問いかけに
耳も貸さず
大きな皿を
テーブルに置いた

な、なんなんだ?

うつむく由香ちゃんは
その皿の気配を感じながらも
全く顔を上げようとしない

するとエミは
由香ちゃんの後ろに
膝立ちになり

ただ黙って

ゆっくりと
由香ちゃんを
背中から抱きしめた


「エミ…ちゃ……っ…
うっ…っく………うぅっ…」


由香ちゃんは
ポロポロと泣き出してしまった


気、気まずい…


するとエミが
小さな声で言ったんだ


「ひとりで
泣いてほしくないから

由香ちゃん・・・
私の前で
いっぱい泣いて?

ずっと前にね
カズマが……
私にそう言ってくれたの

その時
私いっぱい泣いたんだよ・・

そしたら
いっぱい眠れたんだよ」


なんだか
俺は何も言えなくなってしまった

ただただ
由香ちゃんの涙が
落ち着くまで

俺は
とにかく黙ったまま
じっとしていた


ストーリーメニュー

TOPTOPへ