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続・捨て犬

第18章 最終章②・・・カフェ


俺を振り返った
おばさんの向こうの
エミの驚いた顔が
視界に入ったけど

俺は

エミの目を
真っ直ぐ見ることが
できなかった


結婚を夢見ていたエミ

いつかお母さんになりたいと
夢見ているエミ



ごめんな


エミ



「カズマくん」


「はい」


「ちょっと
エミちゃんと話しさせてくれる?」


「……はい」


おばさんは
いつになく真剣な表情で
俺をじっと見つめてから
エミに振り返り

エミの両手を
しっかりと握りしめた


「エミちゃん

エミちゃんは
カズマくんと結婚したい?」


エミは
俺の言葉を気にしてるのか
目を泳がせながら
言葉を詰まらせた


「おばさん、エミちゃんの
気持ちが知りたいの。

カズマくんと
籍を入れたい?」


「………」



「エミちゃんの気持ち
……おばさんに聞かせて?」


するとエミは
俺から視線を外して
少しうつむいた


「エミちゃんの
今の気持ちでいいの。
何でも言ってかまわないのよ?
何でも…」


何でも

その言葉で
エミはゆっくりと
顔を上げ

おばさんを
すがるような目で見つめながら
小さく呟いた





「結婚







したいなんて

思ってない」


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