続・捨て犬
第20章 最終章④・・・着信
無事にタクシーが走り出すと
俺はポケットから携帯を取り出し
萩原に電話をかけた。
「俺、そっち無事か?
カラオケすまいるってとこで
エミと待ってるから
タクシーで来てくれ
うん
そうか
あぁ、分かった。
じゃ、あとでな」
エミは
萩原やおばさんが気になるのか
俺の会話を
心配そうに見つめていた
そして
何か話したそうに
少し口を開けるけど
言葉にならないのか
声が出ないのか
エミは
何も喋らないまま
口を閉じた
「大丈夫だよ、エミ。
おばさんも萩原も
すぐ来るって言ってたから」
俺は
エミの長い髪を優しく撫でながら
エミの手を
ぎゅーっと握りしめた
「エミ…
勝手に何処にも行くなって
言ったじゃないか…
みんな
エミにいて欲しいから
必死で探したんだぞ?
俺だって…
っ必死でエミのこと…っ…
ごめっ…
ごめんな
俺があんな事言ったから
っほんとに…っ…
ごめ……エミ…」