続・捨て犬
第20章 最終章④・・・着信
「エミ…」
「……」
返事はなく
エミは
膝頭に顔を埋めたまま。
「カズマ!急げ!」
ガレージの外から
萩原の声が聞こえると
エミは身体をビクつかせた
怯えて動けないのか
俺に合わせる顔が無くて
返事をしないのか…わからない
けど
こんなとこに居たら
マジでヤバい
「行くぞ!」
俺は
まだうつむいたままの
エミの腕を掴んで立たせ
「走るぞ!」
俺は
エミの震える手を
しっかりと握りしめて
走り出した
とにかく逃げるんだ
こんな場所から
出来るだけ離れた所へ
ガレージから飛び出した時
俺は
萩原やおばさんが
どうしてたのかも分からない程
テンパってた。
振り向くことさえ
怖かったんだ。
何度も何度も
エミが転げそうになって
何度も
俺はエミを立たせたけど
止まるのが怖くて
俺はエミと走り続けていた。
そして
やっと見つけたタクシーに
エミを押し込んだ頃
エミは泣き止んでいて
とにかく
苦しそうに
息を上げていた
「運転手さん
駅から離れた場所にある
カラオケに
行きたいんですけど」
駅はヤバいと思ったんだ
とにかく俺は
安全に
萩原とおばさんに
合流する場所を探していた。
「じゃあ…カラオケすまいるで
いいですかね?」
カラオケすまいるを
知っているのか
エミがコクコクと
頭を立てに振った
「はい、そこでお願いします。
出来るだけ、急いで」