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続・捨て犬

第4章 おいで、してやるから。

家に帰って玄関を開けると
エミはドアの前で
待っていた

「エミ、寒いだろ?
こんなとこで
待ってないで
布団に入ってればよかったのに」

俺は急いで靴を脱ぎ
エミのガサガサの
手を握って
ベットまで連れていった


エミをベットに座らせ
その小さな体に
背中から
布団をかけてやる

「寒くないか?」

「ん…」

俺は
エミの前に座って
買ってきたハンドクリームを
袋から取り出した

「右手、出して」

黙ったまま
右手を差し出すエミ

俺は
自分の手のひらに
ハンドクリームをたっぷりのせ
両手を合わせて
馴染ませてから

エミの右手に
そのハンドクリームを
ゆっくりと
塗り込んだ

指の一本一本

爪の先まで

愛おしむように…


「エミ、左手」

左手も同じように
ゆっくりと
クリームを塗り込んだ


こんなになっても
洗うことが
辞められないなんて…


俺は
エミを
叱ったりしないのに…


もう、誰にも
叱られたりしないのに…

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