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続・捨て犬

第4章 おいで、してやるから。

両手にクリームを
塗り終えて
小さなエミの両手を
俺の大きな手で
包み込んだ


「エミ?」

何?

って表情で
エミが俺を見る


「前はさ…
昔は…病気しても
ケガしても
自分で病院行ったり
自分で薬買ったりしてたかも
しれないけどさ…

俺…いるだろ?

いつも一緒だろ?

ひとりで我慢しないで
俺に言ってくれよ…な?

手が…痛いよ…ってさ…」



「…………」



「それがさ
甘えるってことなんだよ

さっき言ったろ?
俺は、甘えてもらう方が
いいんだって。

エミに甘えてもらうと
うれしいんだよ、俺は。

迷惑なんかじゃないんだ
うれしいんだよ、エミ」



「うれしい?」



エミの両手をはなして
頬を優しく両手で包み
俺は
とびきり優しいキスをした



「うれしいんだよ、俺は。

エミが
今日みたいに
俺に何も言ってくれなかったら

悲しいんだよ」



「悲しい?」



「あぁ…悲しい。

胸んとこが
なんか…
ぎゅうってなるんだよ」



「ごめんね…」



「これからは
甘えてくれるか?」


ちょっと
自信のないような
表情だったけど
エミは
ゆっくりと
うなずいてくれた


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