続・捨て犬
第5章 ひでぇよなぁ・・・俺
翌朝
エミを家において
俺は一人で
パン屋へ向かい
パン屋の店先で
今日も掃き掃除をしている
萩原のおばさんに
俺は声をかけた
「おはようございます」
「あら、カズマくん
おはよう。
・・・ひとり?」
「はい・・すみません
エミは手が痛いので・・」
「あ~・・よかったわ。
休みなさいって言っても
なかなか休んでくれないんだもの~
やっぱり
カズマくんの言うことは
なんでも聞いちゃうのねぇ」
「あ、いえ
そーゆー訳じゃ・・」
ほんとは
そんな理由じゃ・・・
ちょっと
胸が痛んだけど
どうしても
本当のことは言えなかった
「おばさん
申し訳ないんですけど
しばらく休ませても
いいですか?」
「い~わよ。
良くなったら来てちょうだい。
気にしないでね、ほんとに」
「ありがとうございます」
「さ、会社遅れるわよ
いってらっしゃい」
「はい
いってきます」
それから俺は
駅に向かいながら
エミに電話をかけた
萩原さんには
説明しておいたから
安心して
部屋に居るようにって。