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精霊と共に 歩睦の物語

第8章 共にする者

「…よぉうし……だぃ…たい…感覚を掴んだ…」
 回転しないように、バランスを取る歩睦。

 何も持つ所がないのに、何かを持ちたいから、屁っ放り腰になっている。

{うまい、うまい!バランス取れてるよ}
 クスクス笑う声がする。

「え?こ、小人??」
 その声の方を向くと小人が浮いている。

 歩睦が口をパクパクしているのをみて、クスッと笑う小人。

{小人?他人行儀だね}
 小人が歩睦を飛んでいる。

「わ、小さい…」
 歩睦は、アップで見る小人に少し引き気味。


{やっと、顔を見て話せる!}
 小人がニコニコ笑いながら、クルクル回転しながら歩睦の回りを飛んでいる。


(妖精…なのかな?)
 大きな目。とんがった長い耳。
 先のとんがった帽子と、二本に束ねた後ろ髪がフワフワ揺れている。

 見つめる歩睦に気が付いて、小人は歩睦の側に来る。

{……}
 被っていた帽子をぬいで、胸の前に持ってペコッと頭を下げる小人。

「あぁ…」
 頭を下げられて、歩睦も頭を下げる。


 頭を下げた状態でしばらくたった。


「あのぉ…」
 歩睦は沈黙が苦しくなって、話しかける。

{何?}

「えって、ココどこ?それに君…妖精?」

{精霊なんだけど!}
 プイッと脹れて飛んでいく小人。

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