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精霊と共に 歩睦の物語

第8章 共にする者

「あ!ごめん!ほら、妖精の方がメジャーでしょ…だから…」
 歩睦が機嫌を損ねた小人に一生懸命話し掛ける。

{……}
 チラッと歩睦を見る小人。

 目が合った歩睦は、ちょっと笑顔になる。

{……}
 再びチラッとみるが、何も言わないで離れていく。


「ああ…えぇーと…」
 歩睦はいろいろ話題を考える。

「あ!君の声…」
 目で小人を追っていると、その声に聞き覚えがある。

「あの地下通路の時の声だ!」
 歩睦が、片手をグーしてポンと鳴らした。


{そうだよ!!}
 小人がパァッと笑顔になって、飛んできた。

(あ、よかった…機嫌直った)
 歩睦は心の中で呟く。


{あぁ、歩睦が僕の事分からないのかと思って、ちょっとショックだったよ}
 ハンモックに乗っているような姿で仰向けになる小人。

「うん…姿見るの初めてだし…でも、なんで?僕の名前知ってるの?」
 歩睦は小人に質問してみた。

{そりゃ、僕は……うーん…}
 小人が何か言おうとうつ伏せになるが、慌てて口ごもる。

「ああ、確か、言えないんだったね。ごめんよ」
 歩睦は困惑の小人に気を使う。

{……}
 小人はシュンと肩を落として離れていく。

「小人さん。大丈夫だよ、前回会った時も言ったけど、『約束の時』が来ると、いやでも分かるし…ね、ほら、やっと顔を合せて話せるよ。笑顔!笑顔!」
 歩睦は一生懸命笑顔を作る。

{う、うん、わかった!}
 小人はニコッと笑う。

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