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精霊と共に 歩睦の物語

第12章 歩睦、知識を集める

「玲亜の影が予測より早く現れたから…」
 景が歩睦の横に座る。

「れあの影?ってあの黒い塊?」

「そう…私たちはそう呼ぶわ…」

「ねー母さん。レアって珍しいのレア?」
 歩睦が景に素朴な質問する。

「そこに、興味がわくか…」
 目を細めて笑う信司。

「昔からそういわれているから、実際の意味は分からないの。
漢字は『玲亜』と書くわ」
 景が自分の手に漢字を書く。

「へー…すごいなぁ、漢字があるんだ…」
 歩睦は興味津々な表情で言う。

 その表情をみて信司と景は顔を見合わせ優しく笑う。
「歩睦くんは、土御門家について、どれくらい認識している?」


「認識?『橘媛を祭った神社の宮司を生業にしている家』だよね?」


「正式に言うと『橘花媛』(たちばな はなひめ)様の御霊を御護りする式神を祭り仕える神社の宮司を生業にしている」

「そうなの!式神を祭っているの?てっきり橘様の神社だと思ってた」

「一般の人には式神を祭っているって言っても、イメージしにくい。だから橘様と呼んでいる」

「…もしかして、式神って犬?」
 歩睦は楓や紅葉の周りにいた大型犬を思い出した。

「よくわかったな。その通りだ」

(やっぱり…今まで助けてくれていたのは、式神だったんだ…)
 何匹かの大型犬を思い出していた。

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