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精霊と共に 歩睦の物語

第12章 歩睦、知識を集める

「ねー、さっき父さんが言ったロクサケってなに?」
 歩睦が信司に質問する。

「六叉家(ろくさけ)とは、自らの意志で『六叉の刀』(ろくさのやいば)を具現化できる器の者の血族。景の実家、土御門家もそのひとつなんだ」
 信司が簡単に説明する。

「ろくさ?の刃?」

「自分の意思で作る棒状の武器…コレ…歩睦も出せたでしょ?」
 景が光る剣を出した。

「うん…」
 北沢との戦闘で、初めて味わった言いようのない感覚を思い出している。


「歩睦…大丈夫?」
 景が心配そうに言う。

「大丈夫!ちょっと思い出しただけだから…」
 心配かけまいと笑顔で答える歩睦。

{歩睦は少し疲労感が残っているよね}
 ユティルが歩睦の周りを飛んでいる。

「疲労感だけ?他に体の異常はない?」
 景が歩睦の体をあちこち触る。

(バカ!母さん達が心配すること言うなよ!)
 心の中ではユティルに文句を言う。

 ユティルはゴメンの顔でその場から消える。

(逃げた…)
 目だけでユティルを探している歩睦。


「本当に大丈夫なの?」


「大丈夫だよ!」
 歩睦が元気をアピールしようと立ち上がる。

 勢い余って、フラッと体が揺れる歩睦。

「あ!」
 景が歩睦を受け止める。

「無理するな。『霊魂の器』を鍛える前に潜在能力で引っ張ってきたんだ、相当肉体に影響が出てくる」
 心配そうな顔をする信司。

「僕にそんな潜在能力があるなんて知らなかった」
 歩睦はそれでも笑顔で話す。

「本当は…こんな形でしってほしくなかった…」
 景が今にも泣きそうな顔をしながら、ぎゅっと抱き締める。

「母さん!痛いよ」
 それほど痛くはないが、ちょっと照れくさいから、そう言う歩睦。

「あぁごめんね…」
 歩睦から離れる景。

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