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精霊と共に 歩睦の物語

第12章 歩睦、知識を集める

信司「この下向には、異国の娘と共に向かう。そのため、普段は同行しない玄蕃寮(げんばりょう)の役人が付いてきた」

歩睦「ゲンバリョウ?なにそれ?」

信司「玄蕃寮とは「玄」は僧侶(ほうし)「蕃」は外国人・賓客(まらひと)のこと。和名は「法師客人 (ほうしまらうと) の司(つかさ)」読んで字のごとく僧や客の送迎・接待をしていた役人のこと」

歩睦「世話係?…ああ!さっきの『黄金の娘』は外国の姫だったね」

信司「その通り。その当時の玄蕃寮の役人は『槌内 頭首』(つちうち とうくう)が務めていた」

景「槌内頭首は土御門家の初代氏長よ」

歩睦「ご先祖様だね」


槌内家は中級階級の家柄で、中宮職を主に受け持っていた。

職業がら、語学に堪能だった『槌内 頭首』と風流侍従で名を広げていた『橘 佐為』と交流があった。


『聿智乃』の祖父にあたる橘 佐為は客を持て成すことが得意だった。

その手腕を見込まれ外国からの使者を屋敷でもてなす事があった。


歩睦「だから、斎王が知っていたのかな…」


信司「玄蕃寮の仕事についてもっと知りたいなら…えーっとこっちに資料が…」
 話し始めようとする信司。


景「信司さん、脱線してます」

信司「あ…ゴメン…」

景「もう…」

 二人は見つめあって、小さく笑う。





「あーのぉ、僕のいないところでしてよ…」
 慣れていても、恥ずかしいそうな歩睦。

「ああ、ごめんね…では…では…」
 照れ笑いの信司。


信司「建依別国に着いた姫たちは、隕石の落ちたら場所に向かう。

歩睦「大穴の祠のところだよね」


信司「文献には
『田畑抉られ、木々みな同じ方に倒され、焼土と化していた』とあるから、

  隕石は上かられはなく、横から滑る様に落ちてきたと、思われる」


歩睦「上からだと、クレーターになるはずだよね?」


信司「焼土どころか、四国の島の形が変わったぐらいの力だ」
 まるで家庭教師の様に話し続ける。

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