2人の男の攻略法②
第3章 歪んだ愛情
同居生活が始まって、一ヶ月がたっていた。
喧嘩をすることもなく
3人仲良く生活していた。
そう
あんなことがあるまでは―――
「いってきます!雪、一人にしちゃってごめんな?
夜には戻るから!!」
「俺も夜には戻れると思う!」
「うん!大丈夫だよ!
二人とも仕事がんばってね?
いってらっしゃい!!」
雪はひらひらと手を振る。
その日、雪はオフだった。
圭はドラマ撮影で、翔は雑誌の取材。
本当は3人一緒のオフの予定だったのだが、急遽予定が変更になってしまったのだ。
雪は、一人家でくつろぎながらも寂しいと思ってしまう。
一緒に暮らしだして一人になるのは初めてだった。
「はぁ・・」
ため息をつきながらも、
雪は撮りためていたDVDを見始める
お昼を過ぎた頃
ピンポーン――――
不意にチャイムが鳴った。
「はーい。」
「宅配便です!」
元気な男の声にガチャっと扉を開ける。
その瞬間―――
「んむっっっ!!!!!」
一瞬の事だった。
唇をふさがれ首筋に何かを押し当てられる。
「こんにちは、雪ちゃん。」
―――誰?―――
後ろから雪の動きを制御しつつ、雪の耳元で意気揚々と挨拶をする男。
「大きな声ださないでね?
痛い思いしたくないだろ?」
―――なに・・怖い―――
雪は恐怖から涙目になりながらもうなずく。
雪が頷いたのを確認すると、
男は静かに雪の口をふさいでいた手を離す。
「だ、誰・・・?」
「俺?俺のこと知らない?」
雪はチラリと後ろを振り返る。
それと同時に、首筋にチクリと鋭い痛みが走る。
「痛っ!!」
「あー、気をつけて。
下手に動いたら切れちゃうんだから。」
雪は恐る恐る痛みのもとを確認する。
そこには鋭い刃物があった。