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あの事件から１ヶ月が過ぎようとしていた。


雪の入院はテレビでも連日報じられていた。


マスコミには『多忙による体調不良』と伝えられていた。


もちろんレイプが原因などということは伏せられていた。


体調不良が原因にしては入院が長いと、うたぐるマスコミ関係者もいた。

『なにか重い病気なのではないか？』
とか、
『入院は嘘で、メンバーとうまくいってないのではないか？」
とか・・・

とにかく色々と話題になっていた。








そして・・・


晴れて雪が退院する日となった。


以前住んでいた借家は解約して、
圭と翔は新しくマンションを借りていた。


セキュリティもしっかりしている所で、芸能人も多数住んでいるらしい。



借家を解約する際の立会いで、
盗聴器がいくつも発見された事に二人はただただ驚いた。










雪が病室を出ると
翔と圭が待っていた。





二人の顔を見るのが怖い。

なぜか一瞬ためらってしまった自分に、
二人はいつも通りの笑顔を向けてくれた。




「雪・・・家の事なんだけど、
新しくセキュリティがしっかりしてるマンション借りたから。

だから・・・安心して。」



翔が恐る恐る言うと、雪は笑って『ありがとう』と言った。



その笑顔に二人は安堵した。







まだ



この時は気づいていなかった。



雪の



心の中に残っている



『恐怖』を・・・