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パパはかわら版

第5章 パパはかわら版D

4話

初江「ちょっと、押さないでよ」
良江「すみません。しかし、こんなことしてほんとうにいいんでしょうか」
幸江「よくないって。私帰りたい」
初江「何いってんの。ここまで来たんだからつきあいなさいよ」
幸江「こんなことしなくたって、遊びに行っていいかどうか聞けばいいじゃない」
初江「そんなことできないよ。ほとんど話もしたことないのに」
幸江「だから、順番が逆なんだよ。まず、なかよくなって、それから、家に呼んでもらえばいいのよ。それをいきなりつるなんて、ばれたら嫌われるだけだよ」
初江「しょうがないじゃん。成り行きだもん。急に出くわしたんだから」
良江「お父さんもこんなことしてるんでしょうか」
幸江「ええ、なんで」
良江「だって、瓦版ですよ。情報を自分で取ってこなくちゃいけないはずです」
初江「他の人がやるんでしょ。パパは、版説しているだけじゃない」
幸江「っていうより、それは、黄色版とかの仕事なんじゃない。パパたちは、もっと堅いやつでしょ。それより、他の人がじろじろこっち見てるよ。これ以上やったら、私ばれると思う」
良江「そうですね。このあたりが潮時でしょうか」
初江「なにいってんのよ。そこ右に曲がったよ。さあ、いくよ」
幸江「なんか、気が乗らない」
初江「ここって、市場に近い方じゃない」
良江「そうですね。道、1本か2本はずれてますが」
幸江「何、帰りに買い物でもしていく」
初江「ちょうどよかったじゃん。あんたにも、つける理由ができた」
幸江「そんなの理由にならないよ。だったら、私市場で待ってるから」
初江「なにいってんのよ。ここまできて」

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