テキストサイズ

パパはかわら版

第5章 パパはかわら版D

礼子「いいえ、出てきたのは、15,6になってからです。縁談なんかがありましてね。それも同業者だったので、もうこれ以上は無理だなと思いました。家族ともそれっきりなんです」
橋龍「ああ、そう。つまらないこと聞いちゃったね」
礼子「いや、いいんですよ。それにしても、花も綺麗だし、行き来している人たちを見ても、夜とは違いますね。私も、これからどうしたらいいかというのは、考えてしまいます」
橋龍「そう。何か、誘った私が極楽とんぼだったね」
礼子「いやいいんです、気にしないでください。しかし、橋龍さんが独り身というのは、不思議ですね。何かやはり事情があるんでしょうね」
橋龍「私に事情。そんなのはないよ。ただ、女運がなくてね、結婚はできないまま来てしまった。君みたいな子に、若い頃会っていたら、私も今頃は、かわいい子供がいたと思うよ」
礼子「かわいい子ですか」
橋龍「そりゃあ、礼子ちゃんの子はかわいいだろう。最近の子は、ほんとうどうしようもないのばかりだからね、何でこんな世の中になってしまったのか」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ