鳴宮くんは悪い子‼
第3章 鳴宮 和輝?だれそれ?
ガァン!!
鈍い効果音が、耳にこびり付く。
目の前で、殴られた鳴宮がスローモーションのようにゆっくりと倒れる。
無意識のうちに、叫んだ。
「キャァァアア!!!!」
どうしよう!!!!
チンピラがこっち見た!!!!
ぎゃーぎゃー!!!!
「くそ、いってーな」
へ?
あれ、何で生きてんの?
ゾンビ??
倒れた筈の鳴宮が、むくりと起きあがる。
額からは血が流れ、完璧死の淵に立たされている状態だ。
「オイ」
ギロリとチンピラを睨む鳴宮は、さすが松高の悪魔という風格だった。
「ひぃいっ」
すぐさま防御体勢に入ったチンピラを見て、吐き捨てるように鳴宮は舌打ちをした。
「チッ気分悪ぃ」
そして、路地の出口へふらつきながら進み出す。
「ま、待って!!」
急いで鳴宮の後ろへ追いつく。
茶髪に、少しだけ褐色の血が付いていた。
「とりあえず、消毒しよ?」