歪んだ国とキミ
第1章 0
私が覚えている1番古い記憶。
それはふわふわな毛布に包まれて、ママとパパに撫でられている事。
ママは私のふにふにした頬っぺたをずうっと撫でていた。それがとても心地良くて嬉しかった。パパのごつごつした大きな手で頭を撫でてもらうのも嫌いじゃなかった。
ママもパパも笑ってる。
私もつられて笑顔になる。私が笑うとママもパパも笑顔になる。
ああ、なんて幸せな時間。
こんな幸せがずうっと続けばいいのに…。
これが私の1番古い記憶。そして1番幸せな記憶。
辛い時、悲しい時にいつも思い出す。
思い出していたはず。
忘れはしない。
でももう思い出しはしない。
それは私が幸せになったからじゃない。
決して、幸せになんかなれないからだ。
だから、私があの頃を思い出す事はもうない…。