
大好きの意味
第2章 相沢 桃
「よろしくね」
そう言って、手を出した私に桃ちゃんは一瞬こっちを見て目を丸くしたがすぐに顔そらし
「よろしくお願いします」
と、顔を赤くして手を重ねた。
授業中、桃ちゃんはちらちらこっちを見てきたが、緊張してるのかなって思って気にしてなかった。
むしろ、私は眠くて眠くてしょうがなくて桃ちゃんどころか、授業にさえ集中してなかった。
「翔!!!」
突然来た衝撃に私はビックリして、顔を上げた。
「また寝てたでしょ!」
目をこすりながら見ると、そこには由希がほっぺをぱんぱんに膨らまして立っていた。
「全くもう……あれ?あの子だれ?」
隣でクラスの男子に、質問責めにされる桃ちゃんを見て由希が聞いてきた。
「あぁ、転校生だよ。相沢 桃ちゃんだって」
そう言うと、桃ちゃんに聞こえたらしくちらっとこっちを見てはにかんできた。
由希はというと、「ふーん」なんてあんまり興味はなさそうだった。
授業を半日終えた私は、皆とお弁当を食べた。桃ちゃんが独りになりそうだったから、桃ちゃんも誘った。
まあ、桃ちゃんなら独りでも可愛いから男子達がほっとかないだろうけど…
今も恨めしそうな顔してるし……
それはそれで可哀想だからね。
桃ちゃんは、パパと2人暮らしらしい。
今思ったけど、声も高くて可愛らしい。なんだか私と正反対(笑)
私は…まあ髪は胸まであるけどストレートだし、声も高くはない。しかも割と明るい性格だからギャハギャハふざけてる事が多いかな…?自分からいうのも変だけど、私は普通よりはモテるタイプだけど男子も友達みたいなもんだし、彼氏が出来てからは告白もあんまりなくなった。
あ、そろそろ時間だ。
時計を見た私は皆より先に席を立って、急いで向かった。
向かった先は、人気の無い階段
「待った?」
「ううん」
待っただろうなあって思いながらも、優しい裕翔にキュンとする。
家も遠くて2人とも部活生だから空う時間がない私たちは、この時間が2人の幸せな時間なんだ♪
「翔おいで…」
両手を広げる裕翔へそっと近づく。
