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mentalbreak

第1章 2099年12/24

もうドアを一枚挟んだ向こうはモンスターがいる。
雄叫びを上げている音、耳にしているのはもう効果音ではない。
モンスターが放っている鳴き声をゲーム音で片付けられない。

"DooooooooooN!!!"

(っっ!!)

ドアを蹴破りゴーストが廊下から玄関へ入ってきた。

[ぶ、武器!どこだ。。武器!]

モンスターと対峙する心の準備など出来ているわけなどない。
動揺がパニックを起こす。

"Fooo-kyUuuu"

ゴーストは少しずつ妙な音を放ちながらリビングへと近付く

[あった、あったぞ、これだ。]

腰に下げたハンドガンを取り出すと両手で構えてリビングの入り口へ銃口を向けた。

"Enemy in site"

(え?)

"Gyaooooooo-dooN!!!!"

"You get 18point"

誰かが廊下からゴーストを攻撃した。
腕時計が光って経験値の様な数字を照らしている。

[大丈夫かrookie?]

金髪に赤いストール、黒のシャツにレザーパンツとインディアンブーツ。
左手にハットを持ち右手に大きな重火器の大砲を装備している。

[あ、あんたプレイヤーか?]

立ち上がると距離をおいて銃を下ろさずに幸秀は問いかけた。

[おいおい、PKする気か?まず銃を下ろせよrookie。]
*PK...playerkillの略語。プレイヤーがプレイヤーを攻撃し倒してしまう事

男は腰に手を当て壁に寄りかかり幸秀の対応を待つ。

[なにがなんだかわからない。教えてくれ、なんか知ってるんだろ?]

銃を下ろすとホルダーにしまい、ソファーに手をつきながら問い掛ける。

[あん?あんたがこの建物に逃げていくのを見たから助けに来たんだよ。]

[他にしってることは?なんでゲームが三次元化してるんだ?!]

[落ち着けよrookie、公式サイトは見たんだろ?装備ちゃんとしてるしよ。]

[サイトは見た、でもあれだけじゃわかんないだろ!?]

[甘えてんなぁ、人任せでレベルあげてきたのか?寄生かrookie]
*寄生...レベルの高いメンバーに混ざりレベルの高いモンスターを狩らせて経験値を貰う方法を皮肉る単語。

[なんで平気でモンスターが狩れるんだよ。なにもわからないんじゃ戦えないだろ。そもそも俺は寄生でもrookieでもねぇよ!]

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