偽りの桜
第2章 武士道
あの一件があって以来、
頻繁に羽仁は俺の話しを聞きにやって来た。
何でも『愛国心』に興味があるらしい。
「児玉さんってホント愛国者ですよね」
「自分の生まれ育った国が好きなのは当たり前の事だろ」
「でも今の日本はアメリカにやられてるから、当たり前も当たり前じゃないんですよね」
「何だ羽仁、少しは分かってきたな。学校で教わる歴史なんて戦勝国の都合の良い歴史だ。そんな歴史を学んでこの国を好きになれるはずもないんだよ」
「なるほど」
「まぁまた色々教えてやるよ」
「お願いします。…ところで児玉さん」
「なんだ」
「どうして児玉さんはあの時、僕の自殺の理由を聞かなかったんですか」
「あぁ、俺は自殺する人間の都合なんかに興味がない。ただ目の前で先人達の死を無駄にされたくなかっただけだ。」
「いやぁホントすみませんでした…」
「生きる事は死ぬ事なんだよ。『武士道』が生きろ!そう教えてくれる」
「武士道…ですか」