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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~

第5章 ♠RoundⅣ(踏み出した瞬間)♠

「おい」
 直輝が呼びかける。紗英子は一瞬ポカンと夫を見たが、それでも、喋るのを止めようとしなかった。
「だからね、わたしたちも―」
「おい! 俺の話も聞けよ」
 直輝が声を荒げた。
「代理出産なんて口で簡単に言うが、それがどれほど大変なことか判ってるのか? 今、日本では代理母による出産は認められていないんだぞ? 下手をすれば、犯罪にもなりかねない違法行為だって自覚があるのか。大体、そんな状況で引き受けてくれる病院なんて、あるものか」
「大丈夫よ、ちゃんと国内で引き受けてくれるところを見つけたから」
 紗英子があっさりと言うのに、直輝は眼を剥いた。

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