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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~

第4章 ♠RoundⅢ(淫夢)♠ 

 だが、目覚める間際、夫にあられもなく脚をひらいて跨っていた女がちらりと顔を見せたような気がする。そのときに見た女の顔は自分ではなかったような―。
 あれは、一体、誰だったのだろう。自分でないとすれば、誰? 何かとても懐かしい、見憶えある顔だったような気もするのだけれど。いや、あれはやはり自分だったに違いない。他ならぬ自分自身の顔を見たからこそ、どこかで見た女の顔、誰かに似ているような胸騒ぎがしてならないのだ。
 紗英子は無理に自分に言い聞かせる。
 その間にも、直輝の責め立ては容赦がなくなり、紗英子は更に追いつめられて、極限目指して上りつめてゆこうとしていた。
「何て綺麗なんだ、素敵だよ、紗英子」
 直輝が感に堪えたように呟く。
「直君、許して、許して」
 自分でも何を口走っているのか判らない。
 それでも、最後はやってくる。最後のひと突きで、紗英子は何度目になるか判らない絶頂を迎え、同時に直輝も達した。ビュクビュクと熱い飛沫が感じやすい最奥で弾け、まき散らされてゆく。
「あぁ、あうっ、ああー」
 最奥で飛沫が散り、内壁に当たる度に、感じたことのないほどの快感が下腹部から四肢へと拡散し、冗談ではなく、このまま気が狂ってしまうのではないかというほど気持ちが良かった。

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