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恋を知らない少年

第1章 プロローグ

龍也「まぁまぁ、落ち着け早く行かないと遅刻だぞ?」

健妬「誰のせいだよ、全く」

龍也「あはははは」

健妬「ったく、まぁいつものことだからいいけど」

龍也「その心の広さには感心するよ」

健妬「で?なんか悩んでることでもあるのか?」

龍也「ん?いや、なんでもねぇよ」

健妬「まさか、あれの事か?」

龍也「あー、あれのことじゃねぇよ」

健妬「なら、なんだよ~」

龍也「いいから、気にするな」

健妬「うーん、まぁお前がいいっていうならいいけどな」

こんな風にいつもこいつは心配してくる。
人のことを思えるこいつはとても親友として誇りに思えてくるときもある。

龍也「てか、さっきの事は亜依に報告するからな」

健妬「げっ、それは勘弁してくれないか?」

龍也「嫌だ、ほらいくぞ」

健妬「なんでだよ!って、勝手にいくなーー!」

ちなみに亜依というのは健妬の彼女で船場亜依(せんばあい)という。

まぁ、幼馴染で亜依は昔からこいつのことが好きでやっと最近付き合い始めたんだが、全く変わったようには見えないのだ。
付き合うとやっぱり何か変わるもんだと思っていたんだが違ったのだろうか?

亜依「おっはよー!」

龍、健「おはよ~」

亜依「相変わらずギリギリにくるのね~、あんた達は」

龍也「俺はもう少し早く来たいんだがこいつのせいでな」

健妬「いや、いつもお前が変なことしてくるからだろうが!」

龍也「そうだっけ?」

健妬 「いや、そうなんだ!」

龍也「あー、そういえば亜依聞いてくれよ」

亜依「ん?なによ?」

龍也「健妬がな、この前ナンパしに行ったらしいぞ?」

健妬「ばっ!そんなこと言ってねぇじゃねぇか!」

亜依「ふーん、私というものがありながら、他の女に手を出そうとしたんだ~」

健妬「ご、誤解だ!龍也が勝手に言ってるだけだろうが!」

亜依「問答無用!!」

健妬「ぐわーーーーー!」ちーーん

亜依「ふん!」

これがいつもの日常だ。
だが、これから一気にこの日常が変わっていくのは誰も知らない。


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