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気になるアイツ

第11章 理由

俺は梨江子の頭を撫で続けた。

サラサラの長い髪を柔らかく、優しく…

「聞かないの…?」

「ん?」

「昨日の…も、私がリコをやってる理由も…」


聞かないんじゃなくて、聞けなかっただけなんだけどな…


梨江子はちょっとだけ顔を上げて、俺を見た。

その目は心細くて、今にも泣き出しそうだ。

「私ね、お父さんが好きだったの。前の…」

「前の?」

「うん、お母さんの二番目の旦那…」

「梨香さん、そんなに結婚してたんだ…」

ふっと、梨江子はそこで少し笑った。

「いい人、だったんだよ?でも私が原因で離婚しちゃったの」


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