秘書のお仕事
第4章 秘書のお仕事
「どうした?」
「それが…、"ジャスコ"側が交渉を持ちかけて来まして…!!」
「ちっ、面倒だな」
「いかがいたしましょう…?」
山田さん、真面目な話してるとこ悪いけど、あたしの胸を揉みつづけるこいつを何とかしてくれ
「俺が行く。応接室を空けておけ」
「はい」
すると社長は、パッとあたしから離れた
あたしはすぐさま落ちていた服を拾い、胸元を隠す
「新しいスーツ、着とけよ?」
社長はあたしに指差すと、速足で部屋を出ていった
バタンと扉を閉められ、ひとりポツンと残される
『…』
あんのクソ社長がぁあぁあぁあ~!!!
もう何なんだあいつは…!?
こうなったら、あいつをどん底に突き落としてやる!!
キッとあたしが睨んだ先には、社長の机に置いてあるパソコン
あたしはパソコンの前に寄ると、マウスを動かした
ほらほら、あるある
大事そうなファイルの山
これ消しちゃったら、社長は一体どんな顔するんだろうな~
ファイルを選択し、デリートボタンに指を置く
『…』
ふと
青い制服を身に纏った涼の顔が頭をよぎった
もし、このファイルを消してしまったとして…
このファイルが、会社の命運を分けるほど重要な物だったら
会社は潰れて、社長だけじゃなくて、涼や山田さんや、他のみんなまで仕事がなくなっちゃうかもしれない…
『…』
あたしはキーボードから手を離した
カーペットを踏み締めるようにゆっくり足を進め
床に雑に置いてある、社長がくれたスーツに着替えた
もっと考えなきゃ
社長以外の誰にも迷惑掛けずに、社長だけを陥れる手段を…
あたしは自分の机に向かい、こつこつと予定を立てていった
――――――