秘書のお仕事
第9章 板挟み
「隣いいよな?」
『え、あ、うん』
あたしは散らかした机上のものを端へ固め、涼に場所を空けた
涼はそこに、お盆ごと昼食を乗せる
『たくさん食べるんだね』
「まーな、金掛かって仕方ねえよ。
ところで…」
涼はあたしにコソコソと耳打ちした
「例の仕返しってのは、成功した?」
『…いや…』
首を横に振ると、涼はため息をつく
「なんだよ~つまんねぇな」
『しょうがないじゃん…途中までは順調だったのにさぁ…』
あたしは涼に、社長に水を掛けるつもりがお客様に掛けてしまったことを伝えた
話を聞き終えた涼は、必死に笑いを堪えているようで…
「ぐははっ、ドンマイ」
お腹をヒクヒクといわせながら、涙目を向けてきた
ちょっとムカつく
「でもクビにされなくて良かったじゃん、奇跡だな」
『…うん』
あんまり、社長の考えてることが理解出来ない
あたしなんかより良く働ける人なんて山ほどいるだろうに
なのに何で、あたしに秘書を続けさせてくれるんだろう…?
そんなことを考えていると、突然入口の方がざわつき始めた