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第11章 再び参上!第六王国

【Side: ウィザード】


(やっぱり罠だったか………!)


朝、俺が起きるとまず体に違和感を感じた。魔法で体が縛り付けられているのか、身動きが取れない。夜のうちにあの男に魔法をかけられたんだろうが、それに気づかないとは、余程疲れていたのか、それとも相手がかなりのやり手なのか。前者であっても後者であっても、状況は最悪だ。奴の目的は何だ?


とりあえず、この魔法を解かなきゃ何もできねぇ。低級魔法だから解くのは容易いが、基礎魔方陣にちょっと細工がしてあって面倒くさいことになっていることから、やはり奴はそれなりの上級者であることがわかる。

まぁ、魔法使いである俺にとっちゃ、こんな細工も解くのはそう難しくはない。だが、相手の目的は俺をより長く足止めすることにあったらしい。解くのは容易いが時間がかかる。厄介だ。





魔法を解き終え、隣のリトの部屋に行こうとした。でも、俺の隣の部屋の襖が少しだけ開いていることに気がついた。昨日までは禁忌の扉のようぴったり閉まっていたのに、誰かが開けたのか。どうしてもそこがきになり、俺はそっとその間を覗いた。


「確かにこりゃ、開けられたら困るだろうなッ………!」



その部屋の中には大きな穴があり、その穴の中には………



「リトッ!!」


急いでリトが寝ていた部屋にいき、扉を開けると、やはり中はもぬけの殻だった。

奴の目的ははじめからリトにあった。詳しく言えば、“茶色い髪”のリトを拐うことが狙いだったらしい。


深い穴の底にいた、茶色い髪を持つ少女たちの死体がそれを暗示していた。


「宮廷魔導士か………ならあの魔方陣も納得だ。」


おそらくリトを拐ったのは宮廷魔導士で、その宮廷魔導士はアイツに命令されたに違いない。だとすると、リトは今、アイツのところにいるはずだ。

「月の王は嫉妬深いこった………。」

部屋に残された荷物を持って、俺はこの蜘蛛の巣から飛び出した。
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