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↑逆転↓御斗戯世界

第3章 私と魔法使いとファーストキス

【Side: 璃斗】

な、なんてことだ…!(ごくり)


にわかに信じがたいが、自分は生きている。そのことに大いなる感謝と凄まじい困惑を感じた。まさにアニメのような展開だった。

殺される直前で、「ナイトは遅れて出てくるもんだろ?(キラッ)」と颯爽登場したのは、謎のイケメンボイスな男の人で、助けてくれると思ったら電車に轢かれて─未遂だけど─気付いたら見知らぬ土地。

アニメかッ!神展開すぎる!

だがしかし、それと同時に怒りも込み上げてきた。

「て、てか、アンタだれ!?アンタのせいで死にかけたんだから!聞いてる?」

普段こうしてキレることのない天使のような心の持ち主の私でも、さすがに今回のは怒鳴らざるを得ない状況だった。

あのままだと死んでいたかもしれないけど、はっきり言ってそれよりも怖い体験をした。怒らなくてどうする。

男はその怒号に動じることはなく、私の方をじっと見つめた、といっても顔をこちらに向けているだけだけど。

「な、何よ?」

さすがに数十秒も無言で見られるととてもきまずい。私が悪いわけではないのだが、なんせ隣の男は大きく、無言の圧力をかけてくるから、思わず言葉が下手になってしまう。

ほんと、何なのよマジで。穴が空くほど見つめられる、とはまさにこのことかと思った。とりあえず、あっちに敵意はないらしいからこっちも抵抗しないけど、なにこの状況。

そこで気付いたけど、そろそろ降ろしてほしい。持ち上げられているこの態勢、恥ずかしいこと極まりない。



たっぷり数十秒とって、やっと男が行動をおこした。

すらっとしたきれいな手が頭のフードにかかった。そしてそのまま、右手を後ろに動かしフードを捲ろうとした時だった。

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